美人と不細工は本質的には同じ!? ― 「おまえさん」宮部みゆき

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先日、なんとなく見ていたテレビ番組でこんなやりとりがありました。

「だいたい同じ味のラーメン屋が2軒あったら、何を基準に選択する?」
「キレイな女性がいる店を選ぶ」
「だって、キレイな女性と仲良くなりたいし」

私も「そうするだろうな」と考えていた反面、
「やっぱり見た目が良い人が得する世の中なのか?」
と、なんとなくイヤな気持ちになってました。

そんなとき、

ものの端と端は、離れているように見えても同じなのですから。
と、面白い切り口で書かれている時代小説『おまえさん』に出会いました。

超美形でアタマが切れる弓之助、ブサイクだが将来を期待されている信之輔・・・。美男・美女、ブサイクが活躍する『ぼんくら』『日暮らし』に続くシリーズ第3弾。

美人もブサイクも悩みは大きい

「美男・美女には悩みがない」
そんなこと思ってませんか??

もちろんそんなことはないですよね。
「多くの人に言い寄られるため、他人を傷つけてしまう(悩まない人も多いでしょうが)」
「ちやほやされるため、自分以外に愛情が向くと許せなくなる」
『おまえさん』にもこんな美人が多く登場します。

一方のブサイクはというと、
「多くの人にフラれるので、自分に自信がもてなくなる」
「ちやほやされないので、自分に愛情を向けて欲しいと躍起になる」

こう考えてみると、美人も不細工も、
必要以上に顔を意識せざるおえない状況におかれてますよね。

確かに私も合コンに参加した時には、美人とブサイクな人に目がいって、普通な人は印象に残らなかったように思います。

与えられた自信ではダメ

でも、よくよく考えれば、多くの人に
「カッコいい」
「キレイ」
「付き合いたい」
って思ってもらわなくても、好きな人にだけ思ってもらえばいいはずですよね。

ところが、 「ブサイク」であれば、数人に嫌われただけで価値がないとハンコを押されたと感じてしまい、
「美人」であれば、好きでもない多くの人に価値を認めて欲しいと欲がでてしまいます。

これは、心理学でいうところの「マズローの欲求段階説」の4段階目:承認(尊重)の欲求を満たしたいからです。

自分が集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求

しかし!そもそも、この欲求にはキリがありません。
「まぼろし」を追いかけるようなものです。

売れなくなったのでヌード写真を出す女性タレントの気持ちと同じですよね。

自分から出る自信を持とう

では、なぜ「まぼろし」を追いかけてしまうんでしょうか。

それは、自分の内から出てくる自信を持ってないからではないでしょうか。

「白鵬翔」- 本当は辛くて涙が出るぐらいまでやらないとダメなんですよ。土俵に這いつくばって、それでも「立て!」と怒鳴られるくらいでないと底力が出ない。とことん追い詰められてから、「何くそ!」と奮起して、またぶつかっていくことが大事なんです。その苦しみを乗り越えた自信が、力士を強くするんですよ。

(本:『なぜあの時あきらめなかったのか』より)

そこまで苦労していない、打たれてない、本気で取り組んでないことに問題があるのでしょうね。

まぁ、偉そうに言ってる私自身が打たれ弱かったりするのですが(笑)

最後に

『おまえさん』は、不細工な信之輔が弱い心と向き合うことで魅力的な人間に成長していくというお話。
そのためには、これでもか、これでもか、と恥をさらし、ときには人に嫌われる強さが必要でした。

そう。人は失敗し、恥をさらし、弱い心と向き合うことでしか成長できない生物。
それを隠そうと躍起になるから、犯罪に走ったり、心が壊れてしまうのかもしれません。

美人や不細工といった見た目は、自分の弱い心と向き合うために必要なオプションなのかもしれませんね。

参考にした本の紹介

『おまえさん(上)』
著者宮部 みゆき
価格880円
単行本616ページ
出版社講談社
発売日2011/09/22
『おまえさん(下)』
著者宮部 みゆき
価格880円
単行本616ページ
出版社講談社
発売日2011/09/22

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粋な提案:2013/10/18 Fri 16:19

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